ガス給湯器の基礎知識
ガス給湯器ってなあに?
ガス給湯器とは引き込んだ水をガスを燃やした熱でお湯に変えて、浴室・キッチン・洗面所等に送り届ける機器です。
対して風呂釜とは浴槽の中のぬるいお湯を温めて浴槽へ送り返す機器です。
たいてい浴室の横の建物外部に設置されている場合が多いです。
団地などの集合住宅に多い浴槽の真横に設置するバランス釜も風呂釜の種類のひとつです。
浴槽横にお湯を循環する穴が二つ開いているのが特徴です。(給湯器でも2つ穴タイプがあります。)
昔は「台所には瞬間湯沸器」「浴室には風呂釜」と、お湯の必要な場所ごとにそれぞれ設備を設置する方法が一般的でした。
最近では給湯器の「追焚付」というタイプが給湯器一台で台所にも浴室にもお湯が送れ、なおかつ浴槽のお湯も沸かしてくれるので、「追焚付給湯器」が現在のスタンダードになっているといってもいいでしょう。
風呂釜 ガス給湯器
ガス給湯器の号数ってなあに?
ガス給湯器は「作り出せるお湯の量」で号数がつけられています。
たとえば、「水温+25℃のお湯を1分間に16リットル」だせれば「16号」となります。
いまお使いの給湯器が「シャワーを浴びているときにキッチンで洗い物をするとぬるくなるんです。」というような場合は、基本的には給湯器の号数をいまの給湯器よりあげることによって解決できます。
1台の給湯器が同時に何か所お湯を供給できるかの目安として「号数」という表記が一般的に用いられていることが多く、下記の表が標準的な号数の選定基準になります。
最終的には給湯器の価格と家族の人数や同時にお湯を使うシチュエーションの多さなどのバランスを考えて、号数を決定するといいでしょう。
ただし現在引込がされているガス配管のサイズなどによっては「16号から24号へ」という急激なサイズ変更ができない場合もありますので、そのあたりは施工業者にご相談ください。
ガス給湯器の種類 設置方法別
ガス給湯器は設置する場所によって様々な形状のものがあります。下記は代表的なものです。
特に集合住宅では設置場所を安易に変更できないので同じタイプのものを設置する必要があります。
メーカーによっては呼び方が違う場合もありますが、概ね下記のようなタイプに分けられます。
【一般的なタイプ】
●屋外壁掛形 → 住宅の外壁に取り付けるタイプです。
●屋外据置形 → 屋外の給湯器基礎や犬走りの上に置くタイプです。
●PS標準設置形 → 集合住宅のパイプスペース(以下PS)扉に取り付けるタイプです。
【排気方法や設置場所が特殊なタイプ】
●PSアルコーブ設置形 → 集合住宅の玄関脇のPSに取り付けるタイプです。
●PS扉内設置形 → 集合住宅のPS扉の丸い穴から排気するタイプです。
●PS扉内後方排気延長形 → 本体後方へ排気ダクトを通じて排気するタイプです。
●PS扉内上方排気延長形 → 本体上方へ排気ダクトを通じて排気するタイプです。
●PS前方排気延長形 → 本体前方へ排気ダクトを通じて排気するタイプです。
●屋内壁掛FF式 → 本体を室内に設置し給排気をダクトを通じて行うタイプです。
●屋内壁掛FE式 → 本体を室内に設置し排気をダクトを通じて行うタイプです。
書くだけ書いておいてなんですが、一般の方は全てのタイプを理解する必要はありません。
周辺状況や設備状況、設置場所に該当する法規等に照らして最適なタイプは施工業者が選定します。
選定されたときに「なんだこれ?」とならないように、種類があることだけご理解いただければ十分かと思います。
「こっちの安いタイプをつけてくれ!」とたまに言われたりしますが、設置場所により様々な制限があり、タイプ変更はできないことが多いのでその点はご理解くださいね。
ガス給湯器の種類 機能別
追い焚き機能の有無や快適機能の有無で分類されている種類があります。
★ガスふろ給湯器
【フルオート】(追焚付)
●リモコンスイッチONで自動で循環アダプタからお湯をはります。設定湯量で自動ストップします。
●お湯が冷めれば循環アダプタから自動で追焚、保温します。
●一定以上お湯が減ると循環アダプタから自動で足し湯します。 (フルオートのみ)
●自動で排水時に追焚配管内をきれいなお湯で洗浄します。 (フルオートのみ)
●残り湯があっても自動で設定水位まで沸かし直しができます。 (フルオートのみ)
●リモコンの種類によりスマートフォンでお湯張りや入浴者の見守りなどができます。
【オート】(追焚付)
●リモコンスイッチONで自動で循環アダプタからお湯をはります。設定湯量で自動ストップします。
●お湯が冷めれば循環アダプタから自動で追焚、保温します。
●リモコンスイッチを押して循環アダプタから手動で足し湯や足し水します。
●手動で追焚配管内をきれいなお湯で洗浄します。
●リモコンの種類によりスマートフォンでお湯張りや入浴者の見守りなどができます。
★ガス給湯器
【高温水供給式】
●リモコンスイッチONで自動でふろアダプタからお湯をはります。設定湯量で自動ストップします。
●お湯が冷めれば手動でリモコンの高温差し湯ボタンを押すとふろアダプタから高温のお湯が出ます。
(湯量が増えます)
●リモコンスイッチを押してふろアダプタから手動で足し水します。
【給湯専用 オートストップ】(追焚なし)
●浴槽水栓からお湯をはります。設定湯量で自動ストップします。
【給湯専用 オートストップなし】(追焚なし)
●浴槽水栓からお湯をはります。設定湯量でリモコンブザーがお知らせします。
一般的な住宅には「フルオート」または「オート」を用いることが多く、追焚配管がない住宅や追い焚きの必要がない場所(台所専用として使うetc...)などでは「給湯専用」などが用いられます。
一時期のマンションでは「高温水供給式」の給湯器が多く設置されたケースがあります。
追い焚きに似た機能を持つものの、「給湯専用のちょっといいヤツ」という感じのジャンル分けになります。
ぬるい浴槽のお湯を温めようとボタンを押すと、熱湯が送り込まれぐいぐいお湯が増えていく…。
ちょっとやっかいな、でもかわいいヤツです。
この「高温水供給式」の給湯器から「追い焚き付給湯器」に変更する場合は、現場の条件により可不可が決まります。
給湯器と浴槽までの間に追い焚き配管を敷設できるのであれば変更は可能です。
ただし可能とはいえ条件によっては大掛かりな工事が必要になる場合もあり、費用も高額になる恐れもあります。
この「高温水供給式」の給湯器をお使いの方で、できれば「追い焚き付給湯器」に変えたいとお考えの方は、給湯器が故障して動かなくなる前に配管経路の確認依頼などの準備をしておいてください。
故障してからだと配管更新などに時間がかかり、工事が終わるまで長期間お湯が出ないまま過ごすことにもなりかねませんので。
マンションの管理人さんなどが変更可能かどうかの情報を持っている場合もあるので、一度確認してみましょう。
エコジョーズってなあに?
ガス給湯器はガス火で水を熱して瞬間的にお湯にします。
そして水を熱するために発生した「かなり熱い空気」は、給湯器の外へ排出されます。
その「かなり熱い空気」をもう一度給湯器内で水を熱するために利用する機能を搭載したガス給湯器があり、それらの総称・愛称が「エコジョーズ」と呼ばれています。(潜熱回収型ガス給湯器というのが正式名称です)
ちなみに姿・形は従来の給湯器とあまり変わりがないので一見わかりにくいですが、多くのメーカーの「屋外壁掛型」のエコジョーズは本体カラーがシルバーになっていることが多いです。
まあ本体色もですが、前カバーにこれ見よがしに「ecoジョーズ」というシールが貼っているのでわかりますが…
エコジョーズの最大のメリットは「同じお湯の量を沸かすのに必要なガス消費量を減らせる」ことです。
ガス消費量が減るということは「ガス代が減る」ということになりますよね。
逆にエコジョーズのデメリット?としては「本体価格が高い」ことと「ドレン排水配管設置が必須」というところです。
特に「ドレン配管…」がくせ者で、構造上排熱回収時にまあまあの量のドレン水が発生するため、エコジョーズ給湯器の近くにドレン水を排水できる排水配管などがないと設置そのものができません。
戸建住宅の屋外設置の場合は比較的柔軟に対応できますが、マンションのパイプスペースなどにドレン水用の排水配管があらかじめ備わっていない場合や、付近の側溝に排水してはいけない場合は、エコジョーズ給湯器はほぼ設置できません。
ユニットバス工事と同時に「ドレンアップ方式」というドレン配管方式を取れば、パイプスペースに排水配管がなくてもエコジョーズを設置できるケースもありますが、パイプスペースと浴室に配管経路が確保できる場合に限られています。
あと「浴槽三方弁ユニット」という部材を浴槽裏などに設置すればドレン排水の経路を確保できる場合もありますが、これが適用できるかどうかはユニットバスの種類によります。
現在ではもはや「ガス給湯器といえばエコジョーズ」と言われるくらいのシェアになってきていますので、「エコ」が叫ばれるこの時代、マンション側の配管設備面でも対策が当たり前に取られるようになってくればいいですね。
風呂釜
新しい水を沸かしてお湯の状態で浴槽に流し込むガス給湯器に対して、浴槽の中に水をはってお湯を沸かしたり、ぬるくなったお湯を沸かしなおして温度を上げるだけの機能のものを「風呂釜」といいます。
本体や浴室の壁のレバーをカチカチするやつですね。
一般的には浴槽に吸込口と吐出口の2つの穴でお湯を循環させます。
現在ではガス給湯器の追焚機能がその役割を果たすため、新たに風呂釜を設置するお宅は少なくなっています。
そのためメーカーでの生産も徐々に縮小されています。
瞬間湯沸器
主に台所に設置される小型のガス給湯器です。
ボタンを押すと「ボッ」と点火してお湯が出てくるやつですね。
給湯配管が敷設されていないお宅の台所でよく使われていましたが、今ではガス給湯器にその役割を移しています。
構造上室内の酸素を燃焼させるため、誤った使い方をすると酸素不足になったり、不完全燃焼による一酸化炭素中毒になったりする恐れがあります。
そのため、利用の際は必ず窓を開けたり換気扇を回すなど、吸気・換気が必要です。
そのため換気扇連動スイッチが設置してある瞬間湯沸器もあります。
現在では新たに瞬間湯沸器を設置するお宅は少なくなっているため、メーカーでの生産も徐々に縮小されています。