ユニットバスの基本機能
床パン
ユニットバスの床はほとんどがFRP樹脂製で一体モノになっており防水性能を高めています。
最近では水の表面張力を破壊しながら排水を促す排水ミゾを切ってある速乾性の床が主流です。
夜入浴しても次の朝には床が乾いているという大人気の機能です。
足が濡れないという利便性の他に、浴室の湿気が抜けやすいので湿気対策には大変有効です。
入浴後に1~2時間程度換気扇を回しておくだけで床はだいたい乾いてしまいますので、浴室の湿気対策として「速乾床+換気扇」が現在の主流です。
「カラリ床」という名でTOTOが発売しはじめたところ爆発的にヒットし、今ではほとんどのメーカーの一定以上のグレードのユニットバスに標準装備されています。
また最近では畳のように柔らかい床材や従来より断熱性を高めた高機能の速乾性床なども各メーカーから販売されています。
壁パネル
ユニットバスの壁パネルの多くは薄い鋼板製で補強のためにプラスターボードが接着してあり、鋼製のフレームにはめ込むことによって壁が固定されています。
昔のユニットバスの壁は年数が経つと壁パネルの表面が腐食することもありましたが、素材や表面加工技術の向上によってそういうこともダンゼン少なくなりました。
最近のユニットバスは壁パネルの色や柄を複数の中から選ぶことができます。
「アクセントパネル貼り」というような四面ある壁パネルのうちの一面だけを別の柄に変えたりすることもできますし、当然壁パネルの四面とも同じ柄にすることもできます。
壁パネルの表面もツルツルピカピカの『鏡面』加工してあるものが多く、質感を向上させると同時に、掃除が大変しやすくなっています。
マットな質感の木目柄なんかも増えてきて「浴室に木目だと?」と初めは思いましたが、これがどうして実物を見るとカッコいいんですね。
また壁パネルのジョイント部分に水返し加工やパッキンが用いられることが多く、カビが生える原因となりやすいコーキングが入っていないことも清掃性の向上に役立っています。
床や浴槽の色と組み合わせて浴室空間をカラーコーディネートできます。
浴槽
浴槽の材質は主にFRP樹脂の浴槽と人工大理石の浴槽が選べます。
最近では質感の美しい人工大理石製の浴槽が標準装備されているシリーズも出てきています。
浴槽の形状を数種類の中から選べるユニットバスも増えてきました。
色もほとんどのユニットバスで数種類の中から選ぶことができます。
床や壁の色と合わせて浴室空間をカラーコーディネートできます。
浴槽の排水栓はゴム栓やボタン式排水栓があります。
ボタン式排水栓は浴槽の中に手を突っ込むことなく排水栓の開閉ができて大変便利です。
各メーカーで徐々に標準仕様化されてきている「高断熱浴槽」は、浴槽の裏側を断熱材で包み浴槽の保温力をアップさせる機能です。
イメージとしてはTOTOの商品名にもあるように、魔法瓶に近い感じですかね。
浴槽内の湯温をできるだけキープすることで余計な沸かし直しなどをおさえ、給湯器の運転を抑えることで省エネに貢献します。
ちなみにJIS基準ではフタを閉めた状態で4時間後の温度低下が2.5℃以内の浴槽を「高断熱浴槽」といいます。
ご家族で入浴の時間がバラバラだったりするお宅にぴったりです。
高断熱浴槽のふたも断熱性の高い専用品が用意されます。
ユニットバスのシリーズやサイズによっては入浴姿勢保持のための手すりがついていたり、浴槽の底を段違いにして半身浴が楽しめるものなどもあります。
一般的に13〇〇~14〇〇サイズ以上が日本人の標準体型からみて浴槽内で膝を伸ばせるサイズです。
ただしあまりにも広すぎる浴槽だと入浴時の姿勢保持のために力が入り、かえって疲れてしまいます。
浴槽は浴室で体が最も触れる場所ですので、できれば事前にショールームなどで確かめておきたいところです。
排水口
ユニットバスの排水口には基本的に髪の毛などを受け止める網がついていますが、絡みついて掃除しにくいというのが悩みでした。
最近のユニットバスの排水口の網は髪の毛などが絡みにくい工夫がしてあるものが多く、また排水口の形状もより掃除がしやすくなっています。
多くのユニットバスでそのような機能が標準装備されています。
最近のユニットバスはバリアフリー仕様のものが多いので、排水口が詰まってあふれてしまうと脱衣場にまで水があふれてしまう可能性があります。
特にマンションの場合は、脱衣場まで水を溢れさせてしまうと下階へ漏水してしまう可能性もあります。
そうならないようユニットバスの排水口は定期的に掃除をする必要があります。
数か月に1回、最低でも1年に1回は排水口の奥にあたる「排水トラップ」も清掃しておきたいですね。
洗い場水栓・シャワー
最近ユニットバスの洗い場水栓で増えてきているのが『タッチ水栓』や『プッシュ水栓』と呼ばれるものです。
水やお湯をボタン操作で出したり止めたりするもので、操作がわかりやすいので誤操作が少なく全世代が安心して使える次世代の主流になると思われる水栓です。
『タッチ水栓』や『プッシュ水栓』は主にグレードの高いユニットバスに装備されています。
その他のタイプには今では一般的になったサーモスタット混合水栓が主に使われています。
ユニットバスは水栓の種類によってタイプ分けされているものが多いので、好みの水栓の形状で自動的にタイプが決定することになります。
お湯はり機能のついていない給湯器をお使いのお宅では、お湯はりのために専用の水栓を別途浴槽側に設置するか、浴槽洗い場兼用の水栓のタイプを自動的に選択する必要があります。
シャワーもメタル調のデザインのものやマッサージ機能がついたもの、節水機能がついたものなど色々と選ぶことができます。
ただし手元で止水できる「クリックシャワー」などと呼ばれるオプションのシャワーヘッドの中で、簡単にシャワーヘッドの交換ができないタイプのものがあります。
最近では「ミラブル」などの高機能シャワーヘッドが流行っていますが、後々シャワーヘッドを交換する可能性がある場合は「クリックシャワー」等のオプション選択は、あらかじめやめておいた方が良いかと思います。
ドア
ユニットバスのドアは基本的に折れ戸が多いです。
人が中にいる時にドアを開けてもぶつからないように、折れ戸が標準採用されています。
ただサイズが大きくなると開き戸が標準仕様になっているユニットバスもあります。
開き戸の場合、ドア外にタオル掛けなどをつけるとマットやバスタオルを掛けられて大変便利です。
また引き戸や三連引き戸等もあるうえ、現場の状況で制約を受ける場合はドアのサイズやドア位置などもある程度は選択できます。
破損時の安全のためにユニットバスのドアのパネルはガラスではなく樹脂製になっています。
あまり知られていませんがユニットバスで意外と汚れるのがドアです。
こまめに掃除をしないとパッキン部分にカビが生えたり、ガラリの中のホコリが固まって取りづらくなってしまうこともあります。
そこで各社ともドアパネルのパッキンをなくしてカビを抑えたり、ホコリの溜まりにくいガラリ形状を開発したりと、「掃除のしやすいドア」が各メーカーのウリの一つになっています。
あと意外と忘れがちですが、ほとんどのユニットバスのドアには「緊急脱出装置」がついています。
これは浴室内で緊急事態が発生したときに、ユニットバスの外側からドアそのものを外せる装置になっています。
いつ何があるかわかりませんので、ユニットバスが設置されたら説明書等で確認しておきましょうね。
照明
照明器具も色々と選べるユニットバスが増えてきました。
基本的には浴室の大きさに応じて1灯または2灯つくのが一般的です。
また最近の照明器具はほとんどがLEDランプになっていますので、頻繁な電球交換なども少なくなるでしょう。
壁付か天井付かの照明器具を選んだり天井埋込型ダウンライトを選択できるユニットバスも多いです。
清掃性を考えればダウンライトが魅力的ですが、ほとんどがオプション対応になることと天井裏に一定のスペースが必要になります。
メーカーによっては標準仕様ではじめから天井付けの照明も最近では増えてきましたね。
鏡・収納・カウンター
鏡と収納、カウンターはタイプによって標準仕様が違いますが、鏡も収納も形や大きさ、収納棚の数やカウンターの大きさなど色々とあるのでお好みで選ぶことができます。
鏡は最近では大きめの鏡が人気です。
メーカーによって汚れにくい鏡やくもり止め機能のついた鏡のラインアップなども増えてきています。
収納棚は数が多いほど収納力が増えますが、その分掃除の手間がかかります。
なのであらかじめ収納したいものや家族の人数などで判断するといいでしょう。
戸建用ユニットバスのカウンターは洗面器が置けるタイプが多くなっています。
洗面器カウンターは洗面器のお湯を無理のない姿勢で楽に使うことができますが、反面洗い場スペースを狭くし清掃の手間がかかることもあるようです。
マンション用ユニットバスのカウンターはサイズの関係からかスリムタイプが多くなっています。
鏡・収納・カウンターと水栓の形状などによってユニットバスのタイプが分けられていることがほとんどですので、気に入ったものを選ぶと自動的にタイプが決まるということになりますね。
換気設備
在来工法の多くの浴室は換気扇を設置せず窓や換気ガラリで浴室の湿気を逃がしていましたが、ユニットバスの場合は「換気扇での強制換気」が基本となります。
そのため在来工法からユニットバスへのリフォームの場合は新たに換気扇を設置することになります。
マンションや高気密住宅などでは24時間換気対応の換気扇を設置する必要があります。
通常の天井換気扇のほか、脱衣場等と同時に換気できる二室換気扇、浴室換気暖房乾燥機などさまざまな機能の機器を、家の設備状況や生活スタイルに合わせて選ぶことができます。
やはり一番人気は浴室換気暖房乾燥機ですね。ミスト機能付がこれから主流になりそうです。
ユニットバスのカタログでは電気式の換気暖房乾燥機だけが掲載されている場合が多いのですが、設置サイズや熱源機付給湯器等との条件が合えば温水式の換気暖房乾燥機も設置可能です。
電気式の換気暖房乾燥機を新たに設置する場合は、分電盤から専用回路を新設する必要があります。
温水式の換気暖房乾燥機を新たに設置する場合は、既存給湯器を熱源機付給湯器に交換するか、暖房用の熱源機を新設する必要があります。
天井
ユニットバスの天井の材質は壁パネルと同じ材質のものがほとんどです。
換気扇等のメンテナンスのため必ず天井点検口がついています。
基本的には色は白のみですが、一部のメーカーの一部のユニットバスで色を選べるものもあります。
戸建用ユニットバスの天井高は比較的高く設定してありますが、マンション用ユニットバスの天井高は設置スペースの問題で低めに設定されています。
どちらも現場の状況に応じて多少の高さ変更はオプション選択により可能です。
またマンションや鉄骨造のお宅でユニットバスが梁などに干渉する場合は、「梁カット」部材で梁欠きを行います。