ユニットバスってどんなもの?
ユニットバスの歴史と特徴
ユニットバス(システムバス)とは、浴室そのものを主に鋼板などのパネルで壁・床・天井と箱状に組み、その中に浴槽を設置した「規格化された組立式浴室」のことです。
いうなれば建物内の浴室設置スペースに「ユニットバス」という子部屋を作るという表現が最も正しいでしょうか?
昭和30年代後半に日本で初めて開発されたとされ、その最大の特徴は「工期短縮」と「漏水リスク軽減」にあります。
かつてのタイルで施工する在来工法と比べ工期が半分以下に抑えられるため、高度成長期にはホテルやマンション建設の工期を劇的に短縮したことでも知られています。
在来工法は「湿式工法」とも呼ばれる種類の工法で、一工程ごとに乾燥養生期間が必要になるためある程度の工事日数が必要だったんですね。
また漏水についても、マンション管理会社などからよく聞く話ですが、在来工法を採用した浴室と同時期にユニットバスを採用した浴室と比較すると、経年劣化による漏水での修理や改修がユニットバスではかなり少ないのに比べ、在来浴室は頻繁に階下等への漏水トラブルにみまわれるそうです。
劣化した床のタイル目地などから水を通してしまう在来工法とは違い、ユニットバスの床は物理的に一枚物の板ですので、漏水しにくいのは自明の理ではあります。
はじめはそれらの特性から主にホテルやマンション等の大規模工事中心に用いられていたものが、性能・品質・デザイン・価格が大幅に改善されて一般の住宅にも採用されるようになりました。
特に集合住宅の漏水問題に加え、在来工法では構造上困難だったバリアフリー化にユニットバスが大きく貢献したことは、特筆に値する出来事でした。
在来工法では脱衣場への漏水防止の都合上設けざるを得なかった脱衣場床と浴室床の段差についても、ユニットバスの出現により大幅に縮小または消失し、広めの浴室サイズにすることにより浴槽のまたぎ高さも抑えられ、全世代が無理なく利用できる浴室のユニバーサルデザイン完成にユニットバスが大きく貢献しました。
さらに、かつてユニットバスは搬入サイズの都合上新築時にのみ設置されるのが一般的でしたが、リフォーム需要の急速な高まりにより各メーカーから浴室リフォームに最適化されたユニットバスが続々と開発され、現在に至っています。
→ → →
在来浴室を 解体して 組み立てると ユニットバスに!
ユニットバスは一般住宅浴室の主流へ
ひょっとするとユニットバスといえば、ビジネスホテルなどのトイレ・洗面所・浴槽が一体になったものを思い浮かべる方も多いかも知れません。(現在は区別して「3点ユニットバス」と呼ばれています。)
「ユニットバス」というのが固有名詞ではなく「規格化された組立式(乾式工法)の浴室」という定義をご理解いただけると、呼称からくるイメージのあいまいさもご理解いただけるのではないかと思います。
実際にお客様とお話させていただいていても特にご年配の方に多いのですが、「ユニットバス=安物」とか、「ユニットバス=ホテルや賃貸向け」とお考えの方が実に多いことを実感します。
これは品質や性能が今ほど良くなかった時代のユニットバスをご存じの方のご意見だと思います。
皆さんもすでにご存じのように、ユニットバスは2000年代頃から耐久性・機能性・清掃性・快適性・省エネ性・安全性とあらゆる面で格段に性能が向上し続けており、今では日本の一般住宅の浴室の主流を担う立場にまでなっています。
3点ユニットバス(風呂トイレ洗面) 最近のユニットバス
またユニットバスを選ばれたお客様のほとんどが「タイルのお風呂より寒くない」とか「タイルのお風呂より掃除がしやすい」という点をメリットに挙げておられます。
タイルの浴室での不満点ダントツ上位は「寒さ」と「汚れの落ちにくさ」でしたので、これらを一挙に解決してくれるユニットバスを選ばれることは当然といえば当然かもしれません。
各メーカーもそういったお客様の声に応えるためにユニットバスに様々な機能を搭載し、より高性能な商品を世に送り出しています。
さらに脱衣場と浴室のバリアフリー化はユニットバスなしではありえなかったでしょうし、これほど普及してきた要因の一つといってもいいでしょう。
小さいお子さんからお年を召した方まで、みんなが安心して入れる浴室がユニットバスのいいところです。
また工事費用についても流通量の増加や材工価格のバランスの変化にともない、近年では在来工法での浴室リフォームよりユニットバスでの浴室リフォームの方がお求めやすくなってきています。
それらを踏まえると、もはや日本の浴室の主流はユニットバスだといっても過言ではないでしょう。
この勢いなら、そのうち「家にタイルのお風呂なんてあったの?」という時代が来そうですよね。